こんにちは、ウイルです。
今回は本のレビューとして『仕掛学-人を動かすアイデアの作り方』を紹介させていただきます。
本書との出会い
4,5年前、私はメーカーでの就職が決まっていましたが、もともと文系でモノづくりができるわけでもないため、漠然とした不安を抱えていました。
もちろん、職種は営業・管理系に決まっていたため、自分がモノづくりをするわけではないですが、メーカーに勤務する上で多少なりのプレッシャーを感じていました。
(ちょうどその時、下町ロケットを見ていたので職人さんのモノづくりに対する姿勢に感化されていた気もします笑)
その折に、本屋でたまたま目に入った、バスケットゴールとゴミ箱の絵。
これは、おもちゃが散らかった子供部屋にバスケットゴールとゴミ箱をセットするだけで、ついおもちゃを投げ入れたくなり、結果として部屋が片付く、という仕掛です。
モノを作れなくても、"つい買いたくなる"、"つい使いたくなる" 仕掛を自分が作れるようになれば、多少なりとも会社に貢献できるようになるのではないか。
そんな思いで、本書を手に取りました。
この本をおすすめしたい人
本書では、世の中に存在するユーモアある仕掛を紹介し、仕掛アイデアの作り方についても紹介しています。
✓問題解決したいけど、上手くいかない人
✓モノづくりではない形で、解決をしたい人
などビジネスマンや子育てをされている方に特におすすめです!
仕事のノウハウではなく、行動で問題解決をするための仕掛に特化しているという点で、他のビジネス書とは違った視点でのアイデアが詰まっています。
本の概要
それでは、本書についてご紹介させていただきます!
始めに、著者のプロフィールと概要についてまとめました。
著者のプロフィール
著者:松村 真宏さん(Naohiro Matumura)
出身:1975年 大阪生まれ。
職業:2017年~ 大阪大学 経済学研究科 経営学系専攻,教授,専任
・データから意思決定に役立つ知識を発見することに取り組む
・2005年に世の中のほとんどの事象はデータになっていないことに気づきデータやコンピューターに頼ることをやめ、「仕掛学」について研究を始める
本書は2016年に出版されていますので、10年以上も「仕掛学」を研究し続けてきたプロフェッショナルが執筆したということが伺えます。
また、仕掛に関する学問分野は多岐にわたり、物理的に仕掛けが存在するという面で工学やデザイン、行動を生み出す面で心理学や行動経済学が関わっており、それらを参考にしながら仕掛学という新しい分野に挑戦をしてきたようです。
最近では東洋経済の記事に取り上げられていますので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください!
東洋経済:「仕掛学」は感染拡大を止める切り札になるか 2020/7/5
本の構成
本書の構成とおススメポイントを紹介させていただきます。
序章:「ついしたくなる」には仕掛けがある
>>多様な仕掛けの紹介
1章:仕掛けの基本
>>仕掛けの概要と事例の分析
2章:仕掛けの仕組み
>>仕掛けの原理と分類
3章:仕掛けの発想法
>>仕掛けの見つけ方と作り方
2. 身近な事例が多く、”そんなところに仕掛けがあったんだ”と楽しみながら読める
3. 仕掛けの見つけ方と作り方を学ぶことができる
気になるポイント2つ
私が気になったポイントを紹介させていただきます。
仕掛けの3つの定義
本書では仕掛けの定義を「3つの要件(FAD要件)を全て満たすもの」としています。
①公平性(Fairness)誰も不利益にならない
②誘引性(Atractiveness)行動が誘われる
③目的の二重性(Duality of purpose)仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる
一般的な意味で用いられる仕掛けよりもかなり限定されています。
例えば、冒頭にお話ししたバスケットゴールとゴミ箱をセットするとおもちゃが片付く、という事例については①~③すべてが満たされることが分かります。
①公平性
仕掛けを準備する大人と、仕掛けられる子どもは不利益になりません。
②誘引性
子どもはバスケットゴールを見て、ついシュートして遊びたくなります。
③目的の二重性
バスケットゴールを仕掛けた大人の目的は「おもちゃを片付けてほしい」ということですが、子どもの目的は「シュートして遊ぶ」ことなので、目的が二重になっています。
3つの定義を満たすとなると、仕掛けを見つけたり考えるハードルが上がってしまう気がしますが、事例から転用をすることで徐々に慣れていけばと思います。
仕掛けが活躍する場所
誰にどのような仕掛けが作れるか??というヒントとして活用場面が紹介されており参考になりました。
<<活用場面>>
・目覚ましで朝起きるのが辛い人
>>快適に起きるための仕掛け
・体型が気になりだした人
>>運動がしたくなる仕掛けや食べすぎを防ぐ仕掛け
・新商品の店頭プロモーションを考えているマーケター
>>商品に興味を持ってもらったり、手に取ってもらうための仕掛け
最近はコロナでの対策や行動変容が求められていますが
>>つい消毒したくなる仕掛け
>>つい家で過ごしたくなる仕掛け
などを考えてみると面白いのではと思います。
実際に本書では、ライオンが大きく口を開けた「真実の口」の仕掛けが紹介されているのですが、コロナ対策でも使えそうです。気になる方は是非探してみてください^^
この本を読んで変わったこと
最後に、この本がきっかけで変わったことについてご紹介させていただきます。
ビジネスでの活用場面
現在はメーカーのIT部門で仕事をしていますが、”どうすればシステムを使いやすくなるか”や"きらいな業務をどう楽しみながら終わらせるか"などを考える時に、仕掛学のアイディアが役立っています。
例えば、マクロで開発する場合でも、「つい押したくなるボタンは、どこにどのようなデザインで配置すればよいか」を考えて提案し、ユーザーからも好評をいただきました!
また、当初不安に思っていたモノづくりについても臆することなく関わることができています。
日常生活での活用場面
現在、都内で二人暮らしをしているのですが、”どうすればリビングダイニングで広々と快適に過ごせるか”ということを考えていた時に、仕掛学のアイディアが役立っています。
例えば、ダイニングに食卓 リビングにソファという概念を捨てて、ダイニングテーブルとソファーを一体化しました。ソファーは少し高さを持たせて、テーブルもローテーブルではありません。
そうすることで、誰も不利益にならず、部屋は広々としてゆったりと食事ができるうえ、ソファーとテーブルの高さがベストマッチなので、「ついブログの執筆作業をしたくなる」、最高の仕掛けになっています。笑
*こちらの商品については下記記事で紹介しています!
最後に
今回は、本書で紹介している仕掛けの定義や、どのような活用場面があるのかについてご紹介させていただきました。
参考事例や仕掛けの見つけ方については、ネタバレになるため詳しく書けませんでしたが、行動を誘引して問題を解決したい方にはおススメの1冊になっています。
Kindle Unlimitedでも読めますので登録されている方は是非^^
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