2012~2018年頃までやっていた「オイコノミア」という芸人の又吉さんがやっていた経済番組がとても好きで、毎回録画していたのですが、最近はちょっとした時間に見返して楽しんでいます。
4連休ということで「仕事もうまくいく!休み方の経済学」という放送回を久しぶりに見返しました。
結構忘れていたことも多く、なるほど!と思えることもたくさんあったので紹介させていただきます٩( ᐛ )و
仕事は中毒財
日本は労働時間が長いことで有名ですが、どうしてそんなに働く時間が長くなってしまうのでしょうか。
タバコやお酒は経済学では中毒財と呼ばれています。
最初はそこまで欲しいと思わなくても習慣になると中毒になる財をこのように呼ぶそうです。
ある調査によると仕事量も多くなればなるほど満足度が高くなることがわかっており、
仕事も中毒財になるのではないかと考えられているそうです。
経験的になんとなくわかる気もします。
中毒というほど仕事にのめりこんでない!と思ってはいるのですが、
中毒者の人はだいたいそう言いますもんね。。
もしかしたら自分も該当するのかもしれません(-_-;)
日本では基本的に週の労働時間は40時間と決まっています。
これは国が定めた健康を維持するための目安の時間です。
当たり前のことですがしっかりと休むことが仕事の生産性を上げることは忘れてはいけませんね。
Natureという学術誌で、ひらめきが必要とされる問題をA~Cの3つのグループに出し、正解率が異なるか実験を行なったようです。
・Aグループ:朝問題を見て、1日考えてから夜に答える
・Bグループ:夜問題を見て、一晩寝てから翌朝に答える
・Cグループ:夜問題を見て、徹夜で考えて翌朝に答える
一番正解率の高いグループはBグループだったようです。
しかも正解率はA・Cグループの2倍になりました。
このことから休息は精神的な余裕を生み、発想力や集中力を高めるという結論が出たそうです。
この結果は自分も経験したことがあるので納得できました。
働いている多くの方がそういった経験はあると思います。
休んだ方がいいとわかっているのにそれでも長時間働いてしまうのはなぜでしょうか。
仕事は中毒財であるという性質に注目しましたが、それ以外にも要因はあるようです。
どうして残業はなくならない?
仕事が終わらず残業するしかない方はたくさんいると思いますが、
残業代が欲しくてあえて残る方もいるのではないでしょうか。
そんな人は言語道断!と切り捨ててしまえばそれまでですが、
あえて残業した方が特をするという仕組みがそもそも間違っているのかもしれません。
終わらないほどたくさん仕事がある場合、企業ができることは、
①人を雇って仕事を割り振る
②すでにいる人を残業させて長時間働かせる
などが考えられます。
企業としては、新しく人を雇うことで様々なコストがかかるし、仕事も教えなければいけません。
新しい人を雇うコストよりも、すでにいる人を長時間働かせて残業代を支払うことの方がコストがずっと低いのです。
さらに日本は会社に入ってからかなりの訓練をする慣習があるので、新たに人を雇って仕事を割り振るという考えがあまり定着していません。
あるIT企業の成功事例
番組では、残業時間を減らして利益を倍に上げることに成功したIT企業が紹介されていました。
その企業も以前までは長時間労働が当たり前で社員はみんな疲弊していたそうです。
何をしたのでしょうか?
↓
↓
↓
答えは 残業代の支払い方を変えたです。
今までは残業を減らすと残業代がなくなり、社員にとっては結果的に給料が減ってしまうというジレンマがありました。
そこで行なった方法が、残業を減らせば減った分の残業代を社員に還元するという方法です。
またそれには条件があります。
組織単位である一定の残業時間を減らすという目標を設定して、その目標を達成できた組織の社員はその恩恵が受けられるそうです。
社員は残業時間を減らせば自由な時間が増えることに加えて、給料も上がるのでなんとしても残業を減らそうと考えます。
例えば
・会議は立って行う
・夕方の会議は禁止する
・無駄な会議を増やさないために、メールなどで細かな情報共有を行う
・遅れている組織があれば部署をまたがって応援しにいく
などなど様々なアイデアが生まれました。
細かな情報共有などは以前よりもコミュニケーションが増えるという発見もあったようです。
その結果営業利益は4年前に比べて倍になったそうです。
倍はすごいですねΣ(・□・;)
個人としては残業が減って給料が増える。
企業としては、支払う残業代は変わらないが、利益が増える。
winwinの関係です。
このアイディアはすごいなと思いました。
以前「仕掛学」という本を紹介しましたが、
見事に仕掛けが成功している事例であると感じました。
結果的に利益が倍になったので良かったものの、
残業を減らして、残業代を払うという決断をした経営者の決断もすごいですよね。
休むことの大切さや休むことで生産性が上がることを本気で思っていないと中々できない決断だと思います。
地位財と非地位財
前半では「働く」が持つ性質について注目しましたが、
後半では「休む」が持つ性質についても考えています。
冒頭で「働く」ことは中毒財にあたると考えられていると言いましたが、
経済学では「休む」ことは非地位財にあたるのではないかと考えられているようです。
非地位財とは簡単に言うと他人と比較してもしなくても、自分にとっての価値が変わらないもののことです。
反対に他人と比較することによって自分の価値が変わるものは地位財と呼ばれています。
家を例に考えてみます。
◆自分は6千万円の家に住んでいて、周りの人は8千万円の家に住んでいる
◆自分は4千万円の家に住んでいて、周りの人は3千万円の家に住んでいる
どちらが嬉しいですか?
普通に考えると6千万円の家の方が豪華なのに、多くの人は4千万円の家の方が嬉しいと答えるようです。
4千万円と答えた人にとっては、家というものは他人と比較することによって自分の価値が変わっているので地位財になるようです。
お給料や車や役職などは地位財にあたることが多いみたいです。
「休み」はどうでしょうか?
◆自分は月の休みが6日間、周りの人は月の休みが8日間
◆自分は月の休みが4日間、周りの人は月の休みが3日間
どちらが嬉しいでしょうか?
うーん、これは流石に6日の方が嬉しいだろう(´-`)
そう思った方にとって「休み」は非地位財となります。
確かに休みは人と比べて価値は変わらない気がします。
このように考えたことがあまりなかったので、これを聞いた時はなるほどなぁーと関心してしまいました。
聞くと当たり前のように感じますが、わざわざこのように名前を付けて性質を考えているのは、その性質を考えることで新たにわかることがあるからです。
これは経済学を勉強していてなんとなくわかってきたことです( ̄∀ ̄)
今回ポイントになることは、
地位財と非地位財があると地位財に引っ張られてしまうということです。
どういうことかというと、
「休み」は本来は周りと比較しなくても自分にとって価値が変わらない非地位財であったのに、「給料」という地位財があることによって、休みを犠牲にして働くようになってしまうケースがあるということです。
「健康」も多くの人にとっては非地位財であると思います。
しかし、給料を良くするために長時間働いて健康を害するということも地位財に引っ張られているケースにあたります。
この回は2016年に放送されましたが、近年の働き方改革によって、
休みも地位財となりつつあるのではないかなぁと個人的には感じました。
友達とかと仕事の話をする時に、「うちの会社はこんなに休みがあるんだぜ」
って会話が以前よりも多くなっている気がするからです。
そんな風に休めることを誇りにできる価値観が当たり前になって広がると、もっと働きやすい世の中になるのかもしれません。
最後に
今回は「休み方の経済学」というテーマでした。
「休むことは大切だ!」と気合いで言われるよりも、今回のように休むことの大切さを論理的に考えた方がその必要性が身に染みるのではないかなぁと感じました。
「経済学を学ぶ」ではなくて、「経済学で学ぶ」
学生時代の教授が言っていた言葉を思い出しました。
4連休はいろいろな休み方があると思いますが、地位財に引っ張られないように休んでやろうと思った1日目でしたᕦ(ò_óˇ)ᕤ