「熟したテーマは向こうからやってくる」
これはフランスの文豪バルザックの言葉です。
私の好きな本の一つである「思考の整理学」で紹介されていました。
自分の頭で考え、自力で飛躍するためのヒントが詰まった学術エッセイ。
東大・京大で1番読まれた本としても有名です。
ふとした時に何度も読み返したくなる本ですが、読んで感じたことを残しておきたいと思ったので数回に分けて紹介したいと思います。
・テーマの決め方
日本の学校では問題の解き方に関しては何度も教えられます。
しかし、自分で問題を作ってそれを解くということはほとんどしません。
そのため、大学では卒業論文のテーマで悩む人がとても多いようです。
これは卒業論文に限ったことではなく、就活や仕事をしている人にも当てはまると思います。
社会に出て働くと、問題を自分で見つけてそれを解決しなければならない場面に度々直面します。
自分で問題を作ることに慣れていないので悩むのは当然だと思います。
本書では卒業論文のテーマの決め方をビール造りに例えており、その方法は卒論テーマだけでなく様々な場面で使える考え方だと思いました。
例えば文学研究に関する卒論のテーマを決めたいとします。
手順は以下の通りです。
まず作品を読む。
次に読んでいて「感心するところ」「違和感を抱くところ」「わからないところ」
を書き抜く
これらはビール造りでは「素材」にあたります。
素材になる麦がたくさんあってもビールは作ることはできません。
「発酵素」が必要です。
ここではアイディア、ヒントが発酵素にあたると説明されています。
アイディアやヒントは作品の中ではなく、読書やテレビ、他人との会話など思いもかけないところに潜んでいます。
これらのアイディアやヒントを見つけることにかなり苦労しますが、
ここで苦労するだろうということは経験的に理解できます。
それでは、素材とアイデアがあればすぐにビールはできあがるのでしょうか。
実はこれでもまだビールはできあがりません。
"寝させる"
ことが必要になります。
寝させることで素材と酵素の化学反応が進行しておいしいビールができあがります。
色々と考えても解決しなかったことが、あきらめてぐっすり寝ると翌朝すぐに解決できたという経験に近い感覚です。
ビールは一定時間寝かせるとできあがりますが、人間の場合は、寝かせる時間に個人差があります。
でも"寝かせる"という工程が必要なことは同じです。
発酵が始まると、自然に頭の中で動き出します。
胸がわくわくしてきて、楽しくなるので見過ごすこともありません。
「熟したテーマは向こうからやってくる」ということになります。
"寝かせる"という工程が必要であるとわかっていれば、
頑張っているのに結果がすぐに出ないことに対して焦ることもありません。
今は発酵期間なんだと捉えて、その時間を楽しみつつ別の素材やアイディア探しに没頭すればよいと思います。
本の中にはたくさんのアイディアやヒントが詰まっていると思います。
素材はだいぶ集まったので、お家時間を有効にするためにもたくさん本を読もうと思いました。
この本はエッセイ集になっているので、一気に読む必要はなく、何かアイディアやヒントが欲しい時にペラペラ読んでみるという読み方が非常に面白いと思います(^^)/