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【ミクロ経済学】限界効用理論とは?値段の割においしい!の秘密

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はじめに

今回は限界効用理論とは何かについて学びたいと思います。

 

以前の記事でミクロ経済学の学習の流れを説明しました。

it-rpa.hatenablog.com

はじめに考えることは右下がりの需要曲線を導くことでしたね。

どのようにして需要曲線が描かれているのか限界効用理論を使って説明します。

 

ポイントは家計の行動です!

早速学習していきましょう٩( ᐛ )و 

 

ミクロ経済学については、「速習ミクロ経済学」「心と体にすーっとしみこむミクロ経済学」という本を使って学習しています。

 

 

家計の行動

ポイントは家計の行動であると説明しました。

 

経済学では家計を以下のように定義しています。

家計とは財の消費を行い、労働の供給を行う経済主体

一人暮らしの人も家計となります。

 

経済主体とは経済学で出てくる登場人物のことです。

家計・企業・政府などがあります。

 

はモノ、サービス両方を含んで財と呼んでいます。

 家計と市場の関係性

家計財市場では需要者です。

スーパーで野菜を買ったりすることですね。

 

しかし、労働市場では供給者となります。

働くことで労働力を供給していると考えます。

 

反対に企業財市場では供給者です。

スーパーで野菜を売ったりすることですね。

 

しかし、労働市場では人を雇うので需要者となります。

 

このような関係になっていることを理解しておきましょう。

家計は効用を最大化するように行動する

経済学では、世の中には商品がXとYしかないと考えて単純化しています。

 コンビニに行ったらXとYしか売っていないとイメージしてください。

 

そして、「今」消費をすることによってのみ効用を生むと考えます。

「今持っているお金でどれだけ満足できるか」を考えているということですね。

 

現実では将来のことも考えますが、将来のことを考えると複雑になるので単純化しています。

 

財を購入するときは、限られた予算で購入する必要があります。

これを経済学では予算制約と言います。

 

予算の制約がある中で家計は効用を最大化するように行動すると仮定します。

合理的ですね。

 

これらの仮定を前提に単純化したモデルで物事を考えます。

 

「そんなに単純化して考えて意味があるの?」と思うかもしれません。

 

現実経済はもっと複雑ですよね。

でもこのような純化したモデルを分析することで、現実経済にも当てはまる理論が出てくるのです。

 

このような経済学の考え方については、以前書いたこちらの記事を参考にしてみてください。

it-rpa.hatenablog.com

前置きが長くなりましたが、今回の最大の目的は「需要曲線を導くこと」です。

家計は効用を最大化するように行動するということを念頭に限界効用理論について説明します。 

限界効用理論

「あの店って値段の割においしいよね。」という会話はよくしますね。

この時の「値段の割」。ここが限界効用理論のポイントです。

 

効用とはある量の財を消費することによって得られる満足度のことです。

限界効用とはある財の消費量を1単位増やすことで得られる効用の増加分のことです。

 

効用は英語でUtilityなのでUで表します。

 

ビールを3杯飲んだ時の効用(U)を100とします。

4杯目のおかわりをしました。すると効用(U)は110になりました。

この時、限界効用は10となります。

 

限界効用理論では、このように満足度を100とか110のように測ることができるという前提を置いています。

 基数と序数

このように数字の大きさに意味のある数字を基数といいます。

200円は100円の2倍とわかりますよね。

 

基数の反対は序数と言います。

序数は順序しかわからない数字のことです。

 

限界効用理論は効用を数値で測ることができると仮定しています。

天ぷらを食べたら200効用が上がったとか。

 

しかし、現実にはそんなことはありません。

こっちよりあっちの方が美味しいといったような捉え方をしていると思います。

 

限界効用理論にはこのように効用を数値で測ることは非現実的であるという問題点があることを覚えておきましょう。

 効用関数

限界効用理論は英語でMarginal Utilityと呼びMUと表します。 

X財の限界効用はMU(X)などのように書きます。

 

横軸に消費量、縦軸に効用をとったグラフを効用関数と言います。

 

消費量が増えると効用も増えますが、だんだんと頭打ちになってきます。

効用曲線を図で表すと以下のようになります。

 

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グラフでは1単位増えると効用が4増えていますが、この時の傾きが限界効用となります。

 限界効用逓減の法則

グラフを見ると効用がだんだんと減っていることがわかります。

これを経済学では限界効用逓減の法則と呼びます。

 

逓減の逓は徐々にという意味です。

つまり、限界効用が徐々に減っていくということです。

 

ビールは始めの1杯が一番美味しいですが、飲みすぎるとだんだん嬉しさが減ってきますよね。

 

 

この法則は経験則であって、例外もありえます。

始めは不味いと感じてもだんだんと美味しいと感じるケースもありますよね。

理論的に必ず成り立つというわけではないことに注意しましょう。

 加重限界効用

限界効用理論は以下のような仮定を置きました。

・効用(満足度)を数値化して測ることができる

・消費量が増えると効用(満足度)がだんだんと減ってくる

 

これらの仮定を前提に加重限界効用均等の法則という結論が導かれます。

どのような法則であるかこれから説明していきます。

 

加重限界効用とは限界効用を価格で割ったものです。

なぜ効用を価格で割るのでしょうか?

 

具体例を使って考えてみます。

 

X財のみかんとY財のマスカットがあるとします。

価格と1単位増やした時の満足度である限界効用の関係は以下の図の通りとします。

 

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このときどちらを購入しますか?

 

限界効用だけに注目するとみかんが100に対してマスカットは5000

つまり50倍です。

 

値段が違うので当然そうなりますよね。

ちなみに値段はみかんが50円に対してマスカットは5,000円なので100倍違います。

 

値段は100倍違うのに満足度は50倍しか変わらない。

何だか損だと感じませんか?

満足度も100倍にならないと割に合いません。

 

同じ値段じゃないと比較できませんよね。

同じ値段で比較するために1円当たりの満足度を求めます。

【みかん】

100 / 50円 = 2

つまり1円あたりの満足度は2となります。

 

【マスカット】

5,000 / 5,000円 = 1

つまり1円あたりの満足度は1となります。

 

これが加重限界効用は効用を価格で割るの答えです。

つまり加重限界効用とは1円あたりの限界効用のことです。

 

「値段の割においしいよね。」

「この美味しさだと割に合わないね。」

 

このように普段私たちは自然と良さを値段で割っているのです。

 

加重限界効用均等の法則

限界効用理論の結論は加重限界効用均等の法則であると説明しました。

これは、各財の加重限界効用が等しい時に消費者の効用は最大化するという法則です。

 

先ほどの例では、

・みかんは1円あたりの満足度が2

・マスカットは1円あたりの満足度が1

となりました。

 

この時、加重限界効用は等しくないため効用は最大化していません。

 

1円あたりのマスカットをやめてみかんを購入すると必ず効用は増えます。 

効用が増えるということは、まだ効用は最大化していませんね。

 

これを繰り返すとどうなるでしょうか。

 

限界効用逓減の法則があるので、これを繰り返すとみかんの限界効用は徐々に減っていきます。

 

つまりみかんの満足度2は徐々に下がっていきます。

逆にマスカットは消費量が減るので限界効用が増えていきます。

 

やがて、みかんとメロンの加重限界効用は両方とも1.5となります。

このとき効用は最大化するのです。

 

以上が限界効用理論の結論となります。

イメージできましたか?

 

ここまで理解してようやく需要曲線を導くことができます。

需要曲線の導出

家計は効用を最大にするように行動しているという前提に戻ります。

このとき、Xの加重限界効用とYの加重限界効用は等しいはずです。

 

数式にすると以下のようになります。

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この状態でXの価格Pxが下がった場合を考えてみます。

Pxが下がると分母が大きくなるので、Xの加重限界効用は大きくなりますね。

Yの価格はそのままです。

 

この時、効用を最大化するために1円あたりのマスカットを買うのをやめてみかんを増やすと考えられます。

 

結論はXの値段が下がれば、Xの加重限界効用は大きくなり、YよりもXの方がお得になるので、YをやめてXを選ぶ。

つまり、Xの値段が下がればXの需用量が増えるということがわかります。

 

これをグラフで表すと、右下がりの需要曲線が求まるということですね。

値段が下がるとXが増えています。

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グラフの読み方について復習したい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

it-rpa.hatenablog.com

需要曲線と供給曲線で価格が決まるのは市場全体の需要曲線であって、個人の需要曲線で決まるわけではありません。

 

先ほど求めたものは個人の需要曲線ですが、 市場全体の需要曲線は多くの個別家庭の需用量を足し合わせることで求めることができます。

 

以上より、限界効用理論で右下がりの需要曲線を導くことができます。

 まとめ

今回は限界効用理論を使って需要曲線を導き出しました。

 

需要曲線は「価格が下がると消費量が上がる」と覚えていましたが、実はそんな単純に説明できるものではないということがわかりました。

 

限界効用理論には以下の2つの問題点がありましたね。

・効用を数値で測ることは非現実的

・価格が下がると需用量が減るという例外も存在する

 

この問題点を解決するために次回は無差別曲線理論について学びます!

最後まで読んでいただきありがとうございました^ ^